参議院選挙の出口調査のアルバイト

2013年の参議院選挙で、テレビ局の出口調査のアルバイトをしました。この仕事は、選挙の投票日当日に投票所に張りついて、投票を済ませた有権者の方に「どの候補者に投票したのか」をヒアリング調査する仕事です。

アルバイトの発注先はテレビ局の下請け会社で、私はこの下請け会社の1日限りのアルバイトという形で仕事をしました。 朝8時から夜20時までの拘束時間で、途中1時間の休憩を挟んだだけの立ちっぱなしの仕事でした。時給は1500円でしたので、日給16500円という効率の良い仕事でした。

ただし、私がこのアルバイトをしようと思ったのは、効率よくお金を稼ぎたかったということ以外に、もともと私が政治への関心が強かったからです。以前から選挙報道には関心があって、20時の投票締め切りと同時に、テレビ局の選挙報道特別番組が始まりますが、20時1分の時点で当選確実が何人もの候補者に出されるので、そんなに出口調査というものは正確なのだろうかと疑問に思っていました。ですから、一度、自分で出口調査の経験をしてみて、その真偽を確認したいと思ったのです。

このアルバイトの特徴は、「守秘義務」の徹底です。私はこのアルバイトを受注するとき、発注者のテレビ局の下請け会社と守秘義務契約を結びました。仮に、調査内容を投票締め切り時刻の20時までに第三者に漏らすようなことをすれば、多額の損害賠償をしなければならないという契約内容でした。しかし、それは当り前のことです。選挙における投票行動の秘密厳守は、日本国の民主主義の根幹をなすものです。もし私が出口調査の内容を16時頃に、ぺらぺらと第三者に喋ったりしたら、不利な立場の候補者陣営が自分に投票してくれそうな有権者を無理にでも投票所に連れていくような行動がみられるでしょう。そうなると、もはや公平な選挙の実施とは言えず、不正な選挙に私も加担することになってしまいます。

さて、朝7時50分には指定された投票所に到着しました。この投票所で出口調査をする人間は、私以外には見かけることはできませんでした。そして、投票所の出口の近くに立って、待機していました。すると、雰囲気でわかるのでしょう。投票所のなかにいた選挙管理委員会の方が近付いてきて、私の身分を尋ねました。私は、アルバイトで選挙の出口調査をやらせてもらうと説明しました。やはり、国の政治の根幹にかかわる投票なので、チェックが厳しいと思いました。私は身の引き締まる思いがしてきました。

8時から投票が始まって、出口調査を開始しました。事前に会社から言われたとおり、小声で有権者に声をかけていきます。絶対に大声では声をかけません。守秘義務の徹底なのです。こっそり有権者に近づいて、小声で「出口調査をやっていまして、ご協力をお願いできますか?」と声をかけるのです。すると、露骨に嫌がる人がいます。自分の投票行動については徹底的に秘密保持をしたい方は、予想外にかなりいました。声をかけた方のうち3割は、拒絶されました。そして、協力していただける方には、候補者の氏名が書かれているボードを見せて、「どの方に投票しましたか?」と尋ねて、指をさしてもらいました。万が一、誰かに聞かれてはいけませんので、「○○さんに投票した」などと具体名では答えさせません。指をさしてもらうだけなのです。これならば、守秘義務を徹底できます。

こうして、時間が経過していきます。12時に会社に調査の途中結果を報告し、15時にも報告しました。その頃になってくると、かなり回答数が蓄積されてきます。見てみると、明らかにどの候補者が当選しそうだというのが、自分でわかります。20時に終了して、22時頃に自宅に戻ってテレビをつけました。私が調査した選挙区の候補者は、私が15時の時点で勝ちそうだなと思った候補者が、出口調査どおり当選しました。 出口調査は、有効ということを実体験として認識できました。